金田 慎吾
(二世)

国後島くなしりとう古釜布ふるかまっぷ
昭和36年生まれ
 想像してみてください。ある日突然、今住
んでいる土地に住めなくなることを。
 そこは違う国が統治するので、家も仕事も
学校もお墓も、何もかも捨てて今すぐ出て行
きなさい、なんて言われても困りますよね。
着の身着のままで追い出され、明日からどう
すればいいのか、途方にくれますよね。
 でも、こんなことが実際にあったのです。
これが北方領土問題です。
 北方領土に住んでいた人達がどれだけ大変
な思いをしたか。終戦直後ですから、親戚や
知人を頼っても皆大変な時で、迷惑をかける
こともできない。その辛さたるや、私たちの
想像をはるかに超えるものがあったのだろう
と思います。
 沖縄も終戦後、アメリカの占領下にありま
したが、住民はそこに住むことができました。
今でも米軍基地の問題などがあり大変だとは
思いますが、北方領土の人達はそこに住むこ
とさえ許されませんでした。こんな理不尽な
ことはないです。いきなり住んでいる所を追

われ、そこに行くことすら出来なくなり、生
活の基盤を根こそぎ奪われたのですから。誰
でも言います。「ふるさとを返してくれ」と
「家を、土地を、お墓を、思い出を、私たち
のふるさとを返して欲しい」とただそれだけ
です。
 しかし、未だ元島民の願いは叶えられませ
ん。島に帰りたくて、帰りたくて、願い叶わ
ず亡くなった人も沢山います。
 それもそのはず、終戦からもう60余年も経
ってしまいました。20歳位だった人ももう80
歳です。私達は急がなければなりません。元
島民の人達がまだ生きている間に北方領土を
返してもらわなければ意味が無いのです。
 私たち、個人個人の力では何もできません。
ただ、皆の力を一つにまとめることができれ
ば、大きな力になります。
 北方領土問題を元島民だけの問題ではなく、
日本人全体の問題と認識して取り組んでいく
ことができれば、北方領土の返還に向けて大
きな力になるのではないかと思っています。